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2008年8月24日 (日)

自由主義経済の崩壊の始まり

シティーで経済アナリストとして活躍している長年の友人と、先日話し合う機会がありました。
彼の情報ソースは多岐に渡り非常に正確で、湾岸戦争、イラク戦争、そして今度のサブプライム問題と事前の警告が全て正確で的を射ておりました。実際に今度の「サブプライム問題」でも、その問題が表面化する2ヶ月ほど前からあらかじめ「ブラックマンデーを超える深刻なマーケットクラッシュが起きる」との警鐘を受けておりました。

米国を旗頭とする欧州、日本、中国も含む自由主義経済圏は嘗て無いほどの深刻な打撃をうけています。ヨーロッパも状況は、相当深刻なようです。市場経済中での金余り現象を受けて生み出された、様々な金融手法が機能しなくなってきた事が原因で、各国とも打つ手が見いだせない抜き差しならない状況に陥っているようです。英国でもエネルギー、鉱物資源、食料の高騰による物価の上昇とそれに相反する、人件費の抑制で昨年までのバブル的な好況が一気に熱を冷まされています。物価が上昇してインフレ傾向にあるにもかかわらず、賃金が上昇しないこの構造は日本も含めた各国特徴的な様相を示しているようです。


日本経済に及ぼす影響も、深刻甚大なものがありそうです。バブル経済のツケの幕引きを指導した小泉、竹中コンビですが、当時公的資金の銀行への導入にとどまらず、日銀の現金を大手三行に大量に預金させ、それで利率の良い米国住宅公社債を大量購入させ大手三行の業績復活の原資にさせたようです。この手口は日本独自のものではなく各国共通のもので、各国の金融機関が米国住宅公社債を一斉に購入して、莫大な資金が米国に流入しました。実は米国の住宅産業の活況から端を発した米国経済の好況は、こうした状況下にあったわけです。資金がどんどん流れ込むものですから、本来確個たる返済原資を持たない低所得者層にも貸し付けが進み、ひいてはそれが「サブプライム」問題となって好況の幕引きを迎えたわけです。

民間金融機関の個別の預金内容は勿論公開されるべき性質のものではないのですが、日銀の財務内容はまた別の話、そのコンフィデンシャルな財務内容がロンドンサイドに伝わっているようです。日銀の資金が民間銀行に預金され、収益の原資になっているとは違法ではないと思いますが興味がある話ですし、日本のマスコミが何もこのことに言及しないことにもまた、興味が引かれます。ここに来てどうやらその各行に預金している日銀の資金は、すっかり消えて無くなったようです。再び大手三行も倒産同様の内容のようですから、企業に対しての貸し渋りなんてものではすまされない状況下のようです。いずれこれは政局がらみの問題に発展するものと思われますが、それとも事が重大すぎて全て闇の中での処理になるのでしょうか。

オリンピック開催中にグルジア紛争が起きましたが、どうも自由主義経済の繁栄の終焉を分析済みのロシアが、グルジア紛争を見せしめとして、嘗ての属国に対し突きつけた「最後通告」の色彩を帯びていますね。米国を選ぶか、ロシアを選ぶか長年の懸案をここで旗幟鮮明にせざるをえない状況が生まれてきました。その背景には自由主義経済圏に浸かることが無かったが故に、ここに来ての資源高による豊富な資金に裏打ちされた、異質ではありますが嘗ての社会主義経済経済圏の替わりをなすべく、ロシアを核とした自由主義経済圏と対極的なものを再構築しようとしているという、プーチンの一貫して変わらない戦略があります。

未だ最強の軍事力を持ち、ミリタリープレゼンスを誇示する米国ですが、実体経済がガタガタになっているが故に果たして、米国の支援を当てにするグルジアを含む嘗てのソ連属国に対して、米国としての如何なる選択枝があり得るのでしょうか。それがミリタリープレゼンスだけだとしたら非常に危うい話です。

人道支援のもと援助物資を運搬する米軍の艦艇を黒海に派遣するようですが、よく考えれば危機的な状況であるかも知れません。NATOの艦船がすでに黒海に入っていますが、これとは別の次元の話ではないでしょうか。ロシア海軍の牙城黒海に、しかもグルジア紛争でロシア海軍が海上封鎖を実施している海域に米艦艇を派遣するのですから、「火に油を注ぐ」とは正にこのことのように思えます。バーレーンを本拠地とする第五艦隊を待機させ、地中海を根拠地とする第六艦隊の支援下での派遣で、さらには米第六艦隊旗艦の揚陸指揮艦マウント・ホイットニーと米沿岸警備隊の巡視船ダラスも現地に向かっているようです。その支援体制を見ると、「仕掛けて、引っ掛かれば仕返す」と言う意図がどうも見え見えで、一触即発の状況含みと思えます。

「ウクライナはセバストポリ軍港に駐留するロシア艦船の出航に制限を掛けており、ロシア艦隊としての動きは鈍化せざるを得ない。」と一部の報道が有りましたが、これは何のことか。グルジア侵攻に際し、ユーシェンコは事前にたっぷり脅かされている「じゃまをするな次はお前たちだ」と言うように。ウクライナの国営天然ガス企業ナフトガスとガスプロム間の輸入仲介会社ロスクレネルゴを巡る利権に、どっぷり浸かるユーシェンコ(一人ユーシェンコのみにはあらず)は今やロシアのマリオネット。この情報、ロシアからもウクライナからも来ている。

イラクを抱え軍事的に手詰まり、経済的にもどうすることも出来ない米国は本気でないなら、そもそもグルジアをそそのかさなければ良かったのだし、いたずらに武力を鼓舞するここに来てのブッシュの意図がわかりません。到底ロシアとの軍事抗争は本格化できないだけに、メリットが少ないはずです。そういえばイラク戦争開戦前のロンドンサイドから聞こえてくる情報は、「もし開戦するならブッシュは愚かだ」という声ばかりでしたが。

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